H.323/SIP端末をTeams会議に接続する方法

会議室にあるH.323またはSession Initiation Protocol(SIP)対応のテレビ会議端末をTeams会議でも活用するには、端末とTeamsの間で呼制御や映像・音声データを正しく相互変換して受け渡すゲートウェイの仕組みが必要です。Pexip Infinityは既存端末からの発信を受け、Azure上に展開したTeams Connectorを経由してTeams会議へスムーズに接続します。

この通信経路には、AzureやMicrosoft Teamsといったパブリッククラウド環境が含まれます。そのため、Pexipをオンプレミスや閉域ネットワーク内だけで運用する構成と、端末をTeamsへ接続する構成とでは、通信経路やセキュリティ設計が大きく異なります。役員会などの機密会議を社内閉域ネットワークで完結させるのか、それとも社外とのTeams会議への接続をどこまで認めるのか、まずは自社のポリシーに合わせて適用範囲をあらかじめ切り分けておくことが大切です。

実装にあたっては、Microsoft 365側の管理者設定をはじめ、内線番号と重複しないダイヤル体系、Domain Name System(DNS)の設計、SSL/TLS証明書、ファイアウォールの通信許可、さらには同時接続時の処理能力まで、多岐にわたる項目を検討する必要があります。机上の計画だけで終わらせず、本番と同一のネットワーク条件で事前に十分な検証を行い、障害時の切り分けフローや代替経路までしっかりと定めておきましょう。

H.323/SIP端末からTeams会議までの接続構成

標準的な接続経路は、「会議室端末 → Pexip InfinityのConferencing Node → Pexip Teams Connector → Teams会議」という流れになります。端末がH.323かSIPかによってPexipまでの呼制御プロトコルは異なりますが、Teams側との接続はTeams Connectorが一手に担います。端末側の発信操作としては、Virtual Reception(仮想受付)を呼び出して画面上で会議IDを入力する方法と、会議ごとのアドレスを直接ダイヤルする方法の2種類が用意されていますので、現場の利用者が迷わない方式を選択してみましょう。

会議の種類で異なる2つの接続経路

閉域内の会議

  1. H.323/SIP端末
  2. Pexip InfinityConferencing Node
  3. 組織内の会議

Teams会議へ接続する場合

  1. H.323/SIP端末
  2. Pexip InfinityConferencing Node
  3. Teams ConnectorAzure上
  4. Microsoft Teamsクラウド会議

参考:Pexip Infinity Docs「Integrating Microsoft Teams with Pexip Infinity」

端末側の設計で押さえておきたいのが、H.323とSIPのどちらのプロトコルで登録・発信しているかという点です。あわせて、資料共有時に使われるコンテンツ共有プロトコル(H.239またはBinary Floor Control Protocol:BFCP)の対応状況や、メディア通信の暗号化を必須にできるかどうかも確認しておきましょう。社内にSIP端末とH.323端末が混在している環境であっても、Pexip側のCall Routing Rule(呼ルーティング規則)を適切に設定すれば、プロトコルや宛先ごとに柔軟な振り分けが可能です。

なお、既存端末からTeams会議へ入るためのCloud Video Interop(CVI)と、Teams Rooms端末側から外部のSIP/H.323端末へ発着信する機能は、設定内容が全く異なります。前者は既存端末を活かすための仕組みですが、もし後者の機能まで必要とする場合は、Teams Rooms ProライセンスやCVI事業者の対応プラン、事業者が指定するAreaCode、Teams Roomsアカウントへの専用ポリシーの割り当てなども確認しておくことをおすすめします。

参考:Microsoft Learn「SIP and H.323 Dialing with Teams Rooms」(2026年6月24日)

導入前に決める対象とPoCの判定基準

まずは既存端末の棚卸しを行い、詳細な端末台帳を作成してみましょう。メーカー・機種名、ファームウェアのバージョン、利用プロトコル、登録先サーバー、暗号化への対応、資料共有方式、設置拠点、そして保守期限を記録し、Pexipの公式相互運用情報と実機の設定を突き合わせてみてください。

次に、接続の適用範囲を明確に定義しておくことが成功の鍵となります。自社が主催するTeams会議だけを対象にするのか、取引先から招待された外部会議も含めるのか。番号入力方式にするのか、カレンダー連携によるワンタッチ参加まで求めるのか。社内の信頼済み端末はロビーを通過させ、社外や未登録の端末は主催者の承認を待たせるのかなど、運用ルールを整理しておきましょう。この運用方針があらかじめ定まっていないと、ルーティング規則やセキュリティポリシーを正しく設計できません。

Microsoftが提示するCVI導入の標準フローは、対象端末と配置構成の計画、ライセンスの確保、パートナー情報の取得、ネットワーク設定、Azure AD(Entra ID)アプリへの管理者同意、そして対象ユーザーへのポリシー適用という流れです。会議主催者にCVIポリシーが割り当てられると、そのユーザーが作成したTeams会議の招待状に端末用のダイヤル情報が自動で追加されます。

参考:Microsoft Learn「Manage and set up Cloud Video Interop for Microsoft Teams」(2026年7月6日)

あわせて、PoC(概念実証)の明確な合否判定基準を関係者間で事前に合意しておきましょう。双方向の映像・音声品質はもちろん、双方向の資料共有、ロビー待機の動作、意図的な切断と再接続、複数拠点からの同時アクセス負荷、そして障害時の代替手順までを評価対象に含めてみてください。設定変更を行うたびに同じテストを再現できるよう、チェックリスト化しておくのがおすすめです。

Microsoft 365側の設定手順

Microsoft 365側での作業では、Tenant Key、CVI App ID、代替ダイヤル案内のUniform Resource Identifier(URI)を、それぞれの役割と取得元に沿って確認しましょう。Pexip InfinityのTeams接続設定で使うTenant Keyは、Teams会議への入口となるVirtual Reception(仮想受付)に割り当てるSIP URI形式のアドレスです。Microsoft 365のTenant ID(テナントID)とは別の値です。CVI App IDは、Teams Connectorの導入時にMicrosoft Entra IDへ作成されるCVIアプリのIDで、インストールスクリプトの出力から確認できます。設定値を推測で入力せず、導入するPexip InfinityおよびTeams Connectorのバージョンに対応した公式手順書を必ず参照しながら進めるようにしてください。

標準的な設定の流れは以下の順序で行います。

  1. 管理者がPexip CVIアプリの要求権限を確認し、自社テナントで同意(Admin Consent)を付与
  2. Microsoft Teams PowerShellモジュールを用いてPexipをCVIサービスプロバイダーとして登録
  3. PoC対象となる会議開催者ユーザーへPexipServiceProviderEnabledポリシーを割り当て
  4. 対象ユーザーが新規作成したTeams会議の招待状に、端末向けの参加情報が自動反映されることを確認
  5. PoCでの検証完了後に対象グループや全社へ適用範囲を順次拡大

Pexipの現行手順では、New-CsVideoInteropServiceProviderコマンドでプロバイダー情報やロビー動作、ダイヤル案内を設定し、Grant-CsTeamsVideoInteropServicePolicyで対象ユーザーにポリシーを適用します。PowerShellコマンドや必須パラメーターの仕様は更新される場合があるため、作業着手時に最新の公式ドキュメントを照合しておきましょう。また、ポリシー設定がテナント全体に反映されるまでには一定の時間を要することもあるため、設定直後だけでなく、時間を置いてから段階的に接続確認を行ってみてください。

参考:Pexip Infinity Docs「Installing and configuring the Teams Connector in Azure」

Pexip Infinity側の実装手順

Pexip Infinity側では、まずTeams連携ライセンスの有効化を確認した上で、Microsoft 365のTenant IDおよびAzure上のTeams Connectorをシステムに登録します。続いて、稼働中のTeams Connectorを適切なロケーションへ紐付け、Virtual Reception(仮想受付)とCall Routing Rule(呼ルーティング規則)を作成していきましょう。

会議IDを入力して入室する運用を想定する場合は、Teams専用のVirtual Receptionを作成し、入力された会議IDをTeams Connectorへ適切に中継するルールを設定します。一方、会議ID付きのアドレスへ直接ダイヤルする運用も併用する場合は、そのアドレス体系が社内の既存内線番号や他の会議番号と重複しないよう配慮しておきましょう。どちらの発信方式を採用する場合であっても、Pexip内でのCall Routing Ruleの設計が欠かせません。

社内の登録済み端末からの通信を保護したい場合は、社内端末の条件に合致するルールを最優先に配置し、Teamsのロビーを直接通過(バイパス)させる設計がおすすめです。その他の外部や未登録の呼については、非信頼呼として必ずTeamsのロビーで待機させるルールを組んでおくと安心です。信頼の判定には、単なる送信元IPアドレスだけでなく、端末の登録ステータスや着信ロケーション、経由ネットワークなどを組み合わせて多面的に判定するようにしましょう。また、設定変更時の安全性を担保するため、検証用の宛先とルーティング規則は本番用とは明確に分離して運用してみてください。

参考:Pexip Infinity Docs「Configuring Pexip Infinity as a Microsoft Teams gateway」

DNS・証明書・ファイアウォール・帯域の確認

DNS設計においては、Teams Connectorのロードバランサーに割り当てる完全修飾ドメイン名(FQDN)とIPアドレスの正引き設定を作成し、Pexip Infinityへ登録する接続先情報と完全に一致させておきましょう。SSL/TLS証明書のSubject Alternative Name(SAN)にもこのFQDNを含める必要があります。インターネット公開側のConferencing NodeとAzure上のTeams Connectorとでは求められる証明書の仕様や形式が異なるため、秘密鍵の形式、中間証明書チェーン、有効期限、失効確認(CRL/OCSP)の状態まで入念に確認しておきましょう。

参考:Pexip Infinity Docs「Certificate and DNS examples for a Microsoft Teams integration」

ファイアウォールについては、単に「推奨ポートを開けておく」だけでは不十分です。Conferencing Node、Azure上のTeams Connector、Microsoft 365、管理端末のそれぞれについて、送信元・送信先IPアドレスと、シグナリングおよびメディア通信の向き(Inbound/Outbound)を表形式で整理しておきましょう。Azure側のNetwork Security Group(NSG)はテンプレート展開時に自動生成されますが、社内ネットワーク境界のファイアウォールには別途手動での許可設定が必要です。Microsoft 365やAzureが使用するポート範囲やIPアドレスは定期的に更新されるため、古い社内資料から固定値を転記せず、導入時点の最新公式ドキュメントで必ず確認してください。

参考:Pexip Infinity Docs「Planning, prerequisites and firewall ports for your Microsoft Teams integration」

帯域とノードの処理能力は、ピーク時の最大同時接続数、解像度・フレームレート、資料共有の有無、使用コーデック、拠点間のWAN回線容量、そして予備帯域を考慮して算出しましょう。Teams会議へのゲートウェイ通話では、端末側とTeams側の両方でトランスコーディング処理が行われます。特にH.323/SIP端末ではメイン映像と送信コンテンツで帯域を分け合って通信するため、画面共有を開始した際にもメイン映像の品質が劣化しないか、実測によるキャパシティ検証を行っておくと安心です。

参考:Pexip Infinity Docs「Capacity planning」

本番前テストで確認する項目

最初からいきなり本番のTeams会議への接続をテストしてしまうと、トラブル発生時に端末側とクラウド側のどちらに原因があるのか切り分けが難しくなります。まずはPexip Infinityが標準提供している「Test Call Service」を活用し、カメラ・マイク・スピーカーの動作や、端末からConferencing Nodeまでのローカル通信が正常に通っているかを単体で確認してみるのがおすすめです。

参考:Pexip Infinity Docs「Configuring the Test Call Service」

端末単体の動作に問題がないことを確認したら、PoC専用アカウントで新規作成したテスト用Teams会議を用いて、以下の項目を順序立てて検証してみましょう。

  • H.323端末およびSIP端末のそれぞれからVirtual Receptionへ発信し、会議ID入力で正常に参加できるか
  • 直接ダイヤルやカレンダー連携(ワンタッチ参加)を導入する場合は、その経路からも問題なく接続できるか
  • 社内の登録済み端末がロビーを自動通過し、社外端末や未登録端末はロビー待機となるか
  • 双方向の音声・映像がクリアに届き、双方からのPC画面共有(コンテンツ送信)が正しく映るか
  • マイクミュート、意図的な回線切断と再接続、会議の正常終了、誤った会議ID入力時のガイダンス動作を確認
  • 想定される最大同時接続数の負荷をかけ、Teams ConnectorとConferencing Nodeのリソース使用率を測定
  • 証明書エラーやDNS不達、ルーティング不一致などの疑似障害を発生させ、監視通知や連絡フローが機能するか検証

テスト中に接続に失敗した呼があった場合は、発生時刻、発信元端末、入力したダイヤル文字列、Call ID、適用されたルーティングルール、切断要因コードを一組にしてログを保存しておきましょう。PexipのParticipant Historyや管理者ログを活用すれば、会議IDの誤認、ルーティング不一致、テナント認証、証明書エラー、Connector到達性、同時接続ライセンス上限などを論理的に切り分けることができます。

参考:Pexip Infinity Docs「Troubleshooting Microsoft Teams and Pexip Infinity integrations」

稼働後の運用手順

役員会など失敗が許されない重要な会議を控えている場合は、端末のセルフチェックやテスト発信、Teams招待状の記載情報、会議室LANの通信状況、予備の参加経路などを事前に確認しておく運用ルールを定めておくと安心です。会議の主催者、使用端末、接続予定時刻、緊急時のエスカレーション窓口などを事前に情シス運用チームへ共有しておきましょう。

日々の運用監視では、Teams ConnectorおよびConferencing Nodeのリソース稼働率、同時通話数、メディア処理負荷、接続失敗率、証明書の有効期限などを定期的にチェックしておきます。Microsoft 365、Pexip Infinity、Teams Connector、そして会議室端末のソフトウェア更新を行う際は、不具合発生時に原因を特定しやすいよう、一度にすべてを更新せず、段階を追って実施しましょう。まずは検証環境や試験用ルールで動作を確認した上で本番へ適用し、更新後はH.323/SIPの接続、社内外からの発着信、映像・資料共有の再テストを忘れずに実施してください。

万が一の障害発生時には、「端末からPexipまで」「Pexip内部のルーティング」「Azure上のTeams Connector」「Microsoft 365クラウド」の順序で切り分けを進めます。会議を即座に再開させる必要がある場合は、別の予備会議室端末への移動や、各自のPCからの直接参加、スマートフォンによる音声参加など、あらかじめ承認された代替手段へ速やかに切り替えましょう。現場の混乱を避けるため、「原因調査を進める担当」と「別経路で会議を継続させる担当」の役割をあらかじめ分担しておくのがおすすめです。

H.323/SIP端末とTeamsの接続設計はメディアプラスへ

既存のH.323/SIP端末をTeams会議へ安全に接続できるかどうかは、端末ごとの細かな仕様差や社内のダイヤル体系、Microsoft 365の権限設定、ネットワーク境界のファイアウォール設計などを一つひとつ検証した上で判断することが成功への近道です。特に重要な業務会議で活用するのであれば、障害発生時の迂回運用まで見据えたPoCの実施をおすすめします。

私たちメディアプラスは、Pexipの正規販売代理店として、Pexip Infinityを活用した会議室端末とTeamsの相互接続プロジェクトを数多く支援してきました。既存端末やネットワークの現状調査から、PoCの設計・実施、Pexip InfinityとTeams Connectorのアーキテクチャ設計、お客様が実施するMicrosoft 365側の設定支援、本番移行テスト、そして稼働後の障害切り分けまで幅広く支援いたします。詳しくはPexip Infinityの機能と構成をご覧ください。

さらに、予約管理や多拠点の一斉呼び出し、緊急招集、会議中の遠隔オペレーションといった高度な運用を維持したい場合は、当社独自のVMRオペレータ®を組み合わせた構成もご提案可能です。まずは現在お使いの端末一覧や既存のダイヤル体系、Microsoft 365テナントの利用状況、閉域網・セキュリティ要件などをお気軽にお聞かせください。貴社に最適な接続構成と移行プランをご案内いたします。ぜひメディアプラスへのお問い合わせからご相談ください。

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